最近よく耳にする、「フリーランス看護師」という働き方ですが、実際にどんな看護師のことをそう呼ぶのかと疑問に思われている方も少なくないと思います。
私は社会人になってからほとんどの時間を病院看護師として過ごしてきたので、フリーランスという言葉に対してはやや拒絶感がありました。「定まった就職先を持たず、その日雇いでスポット勤務を行う派遣看護師」というイメージが強かったからです。
スポット看護師の働き方を否定するわけではないのですが、過去に看護師が常に不足している職場にいた時(32床の病棟と10床のICUが併設された病棟に、常勤看護師が4名+常勤パート2名という体制という恐ろしい状態)、質のバラバラなスポット看護師に苦しめられ、ドタキャンされ28時間勤務などざらという状態に追い込まれた過去があったことや、どうしてもスポット看護師と組む場合、自分がほとんどのルーチン業務をこなさなければならないにもかかわらず、換算すると5分300円という高給を取っていることに腹立ちを覚えていたからです。
しかしそれは過去の話。スポット看護師にもいろいろな人がいて、看護師として高いスキルとコミュニケーション能力をお持ちの方もいらっしゃるので、常勤もそうですけど要は個別性があるということ。優秀なスポット看護師さんには、管理職として今でもとてもお世話になっています。
でも今日お話しするのは、そういったスポット看護師さんのことではありません。フリーランスとして看護師の業務を、自ら開拓してビジネス=仕事として確立している看護師のことです。
看護師って、何も病院だけが職場ではありませんよね。最近では活動の幅が以前より広がってきているので、訪問看護や介護施設、グループホーム、地域包括支援センターなど、様々なところで看護師が働いているのですが、そういった「一つの勤務先に雇用される」という形態ではなく、開業したり個人事業主として働くなどといった活動をしている看護師のことを、フリーランス看護師と呼びます。
看護師の仕事はご存知の通り、「診療の補助」と「療養上の世話」と法律上定義されています。この中で、「診療の補助」は医師などの指示あるいは包括的指示のもとに実施されるものなので、看護師単独で行うことはほぼ不可能に近いのですが、「療養の世話」は看護師の独占業務ですから、この領域に含まれることであれば看護師が単独で行うことができます。
医療・介護予防や生活指導、より元気に生きるための手助けなどは看護師の最も得意とするところです。そういった部分に活路を見出し、事業を立ち上げ、新たな分野を開拓する看護師が少しずつ増えてきているのです。
私は現在、生活のために主たる収入先である常勤の職場で働きながら、講演活動や書籍の執筆、医療ライターや校正業務などのフリーランス活動を行っています。ある程度歳も取り、長距離通勤や体力的精神的にきつい仕事を続けていくことに自信がなくなってきたここ2年ほどの間にちょっとした転機があって、今まで培ってきたものを元手にしていずれはフリーランスナースとして独立したいと考えています。
フリーランスと簡単に言いますが、生活の質を落とさないだけの収入をその活動のみで得ることはなかなか難しく、様々な準備や時間が必要です。
次回は私がフリーランス看護師を目指すことになった経緯と、どのような準備をしてきたかをお話ししたいと思います。
この記事へのコメントはありません。