わたしのヒストリー

妊娠初期のころ -人生の棚おろし⑯-

 前回、「看護師として飛躍したころのこと —人生の棚おろし⒂」では、私が看護師として一番成長した民間病院で働いていた頃のことを書きました。

 今回は、人生の節目になった出来事について書いていきます。

 人間は生きているうちに、必ず何度か節目を経験します。
 節目というのは竹にある節のことを表していて、人生のターニングポイントともいうべきもののことです。

 例えば、大学受験や就職、転職、家族の介護体験や別離などがそれにあたります。

 私の場合、病気で部活を辞めなければならなくなったり、就職先を決めたり、渡英したりしたことなどが節目となっていました。その時々で決定してきたことに従って進んだから、人生の道が伸びて今に繋がっているといえます。

 一般的に、男性より女性の方が節目が多いといわれているのですが、そのうちの二つが、結婚と妊娠です。

 私の場合、結婚で転居し仕事も変わり、その結果として看護師としていろいろな経験ができたので、充分に大きな転機だったといえます。

 そして、まさに仕事が面白くなり、主任としての立場も確立し、院内での教育的活動などにもやりがいを見出すことができるようになった頃、妊娠が発覚したのです。

 すでに30代も半ばを過ぎていましたので、子どもができない体質なのかとあきらめていた矢先の出来事でした。嬉しくて舞い上がりそうな反面、思い描いていたキャリアの方向性を諦めなければならないと思うに至ります。

 その時私はICUをメインに仕事をしていて、重症集中ケア認定看護師の資格を取りたいと考えていました。そのためにどんな準備が必要なのか情報収集をして、少しずつ準備を始めていたのですから、キャリアと出産のはざまで悩むこととなります。

 でも、実際には授かった命が大切であり、この年齢で諦めたら次はないと思ったので、当然出産を優先させました。認定看護師の資格は出産してからでも遅くないと考えたのです。認定看護師のコースは金銭的にも決して安くはないので、いろいろと不安はありましたが、その時はまず子供のことを第一に考えることを優先させました。

 認定看護師の前に、呼吸療法認定士の資格を取ろうと考え、すでに認定講習会の申し込みをしていた頃でしたので、つわりと戦いながら講習会に出席し、なんとか受験資格を得たものでした。常に生理中のようなおなかの痛みがあり、受診したところ切迫流産の兆候があるといわれ、仕事を2カ月ほど休んだのもこのころでした。

 看護師は仕事の性質上、切迫流産や切迫早産の割合が高いのですが、自分もその傾向に乗ってしまったんですね。

 ひどいつわりと戦いながら、呼吸療法士になるための勉強をして、なんとか耐えていたのがこの頃です。

 今思うと、本当によく頑張ったと思います。妊娠中はホルモンバランスが変わる影響で、不安になるなど情緒が安定しないことがあるものですが、私も全く一緒でした。

 一人でいる時間が長かったため、不安ばかりでいつも泣いていました。私の場合は夜にかけてつわりがひどくなるパターンだったので、午前中のうちになんとか買い物や掃除などの家のことを済ませて、呼吸療法士の勉強をしていました。ミニチュアダックスを飼っていたので、お散歩に出なければならなったのですが、散歩中に気分が悪くなってしまうこともよくありました。柔軟剤のにおいで吐き気を催し、きゅうりが食べたくなって大量に買ったはいいけど結局食べられず、すべて無駄にしてしまうという妊娠期特有の出来事も経験しました。

 妊娠4か月に入り安定してきたころには、つわりもだいぶ落ち着いて切迫流産の懸念もなくなったため、職場に復帰できることとなりましたが、時々おなかが痛むので、あまり体を動かす仕事は避け、日勤のみの勤務となり、リーダー業務に専念することになりました。

 その中で、また新たな学びを得ることとなるのですが、それは次の回「急性期病棟から看護部への異動 -人生の棚おろし⒄」で。

 今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました(^^)

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