以前、私の人生を振り返って書いた棚おろし記事で、長年信頼していた恩人に裏切られたお話を書きました(「人生最大の逆風(4)—人生の棚おろし㉞—」)
いつも私の仕事のことや、将来のことなどを心配してくれて、いい職場を探してきて紹介してくれたり、助言を与えてくれたりする、私にとっては本当に大切な恩人でした。
10年来の繋がりがあり、一緒に仕事をしたことも何度かありましたので、もちろんいいところも悪いところも知り尽くしていました。他者に対する関わりの程度が極端で、一度「この人はダメ」と烙印を押してしまうと、とことん無視したり攻撃し続けたりするという面も持っていることも知っていました。
ですが、まさか自分がその対象になるなんて、全く考えたこともなかったんですね。
その人の職場の中での振る舞いは、まさに政治家そのものです。大局を読み、潮目を読んで、自分の都合よくことが回るよう、静かに根回しをし続けます。フレンドリーに近づいて好感を勝ち得ることに成功したら、あとは一気呵成に攻め立てるという戦法です。
私はそういった政治的な戦いなどには縁がなかったし、ただ自分の仕事をしっかりと積みあげていきたいタイプの看護師でしたので、身近なことよりも大局を常に見てそれを自分の力でコントロールするその人のやり方はできなかったですし、自分には縁のないものだと思ってみていました。ただ、鮮やかだなぁ、すごいなぁという尊敬の念だけだったんですよね。
長年お世話になっていたその人が前職を思いがけない形で解雇になったとうなだれていた時、今までさんざんお世話になった来たのだから、今度は私が彼女を助ける番だと思い、自分が看護部長として働いていた病院に招いたのですが、今思うとそれが判断ミスだったのだと感じます。
策士である彼女は、私に内緒で自分に都合の良い環境にするため水面下で動き回り、いろいろな既成事実を作り上げ、政治的なことには疎い私を上手く丸め込んで、私を退職させるための道筋を作っていたのですから、まぁ本当に鮮やかとしか言いようがありませんでした。
そんな風に仕組まれたということが分かったときはもう後の祭りで、私は色々なことに泣き寝入りし、その職場で完全な悪役となり(笑)退職したのですが、今ではあれは自分に必要な経験だったと考えています。
人生で強烈な逆風が吹くときは、その環境から脱出しなさいというサインであることがほとんどです。何をやっても上手くいかない、そのうち体調まで悪くなってきた、何をどうしたらこの状況を打破できるのかわからない、周囲の人たちの援助も受けられず孤立していて、どう戦っていいのか皆目見当がつかない、そんな状況に陥ってしまったら、迷わず人生の車線変更を決断すべきです。
私はもともと、漠然と看護師という仕事に対して、心のどこかで違和感を感じ続けてきました。看護師になった理由が母からのすすめだったこと、看護師に向いていないと最初から思っていたことが、30年近く続けていく中で埋もれてしまい、ほとんど感じなくなっていただけで、本当は根強く残っていたのだということに、気付くきっかけを与えてくれました。
そして、政治的なことを考えて動くことができなければ看護部長として成功することが難しいというのであれば、HSPである自分にとって途方もなく困難な道のりだし、そもそも人の感情をモロに受け取ってしまうという性質は、組織に属しているだけで疲れてしまうのも当然だという結論にも至りました。
組織で働くこと、多くの人の感情を一度にやり取りする現場にいること、ずっとそういう環境に身を置いてきて、ずっと気づかないでいた(もしくは気づかないフリをしていた)ことに驚きつつ、気付くことができて本当に良かったと、今はこの「昨日の友は今日の敵」となった経験を歓迎できるようになりました。
生まれた時からHSPで苦労してきたことについては、noteに以前書いた記事(「ストレスまみれの繊細さんの人生」)がありますので、良かったらそちらもご参照ください。
人生の中で大きく自分に影響を与えている人は、良くも悪くも、自分にとってとても近しい存在の魂である。
私を組織から追い出してくれたその人は、私の恩人から仇敵へと変貌を遂げました。いずれも私の人生の節目において、非常に大きな影響を与えてくれた人です。魂の契約で、私に大きな気づきを与える役割を担ってくれたんだと思うと、本当に感謝の気持ちが湧いてくるのが不思議です。
「昨日の友は今日の敵」
とてもつらい経験ではありますが、是非マイナスに捉えないでください。
すべての出来事は魂の成長のために起きています。
いつまでも過去の出来事に囚われて、大切な人生の時間を無駄にしないためにも、捉え方を変えて見る習慣をつけることをおすすめします(^^)
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