私は子供のころから野球が大好きでした。
小学生の夏休みに、高校野球に出会ったのがきっかけです。
HSPでエンパスなのもあってか、高校野球独特の負けたチームの悲壮感に共感し、そのドラマ性に感動したのがきっかけだと思います。
近所の本屋でルールブックを買って(野球のルールって複雑なんです!)、学習塾の待ち時間に熟読したり(その頃から学ぶことが好きでした)、テレビで試合を観ている時は常にそばに置き、気になることを調べたりして学んだものです。
夏休みも終わる頃になると、高校野球も終わってしまいます。夏休み中ずっと夢中になっていたものがなくなってしまい、どう毎日を過ごしていいかわからず(大げさ・笑)、たまたま夜やっていたプロ野球中継を見始めたのが、私とプロ野球との出会いでした。
昔は讀賣ジャイアンツの試合は地上波ですべて放送されていました。ですから、セリーグの全チームの試合が地上波で観られるわけです。中継時間はテレビを観、中継が終わるとラジオを聞き、試合翌日は朝刊のスポーツ欄をスクラップするなど、本当に熱心だったと思います。
各チームに贔屓の選手がいるという状態でしたが、一番好きだったのがヤクルトスワローズの若松選手でした。小柄ですがよく打ち足も速く、クールに仕事をする様子がとても素敵だったのを覚えています。そして知らず知らずのうちに、東京生まれ東京育ちということもあって、東京ヤクルトスワローズを応援するようになったのです。
実は昨日、そんな私の子供のころから活躍していた選手たちが神宮球場に一堂に会し、対抗戦を行うというビッグイベントが催されました。
Swallows Dream Gameと題されたその試合には、1960年代から1970年代にかけて活躍した往年の大スターや、つい去年引退した元選手まで、たくさんのスワローズOBが駆け付けました。中には海外からこの試合のためにやってきてくれた選手もました。
東京ヤクルトスワローズは今年50周年を迎え、その記念行事として催されたのがこのDream Gameなのですが、文字通り節目の記念になるような、素晴らしいものでした。
抽選制のチケットに申し込み当選して、私も昨日は神宮球場に足を運びました。歴史的なイベントを前にして、始まる前から何かというと涙が出てしまうという現象に困りながらも、雨の中6イニング制で行われた試合を堪能しました。
選手の中には、怪我のため若くして引退を余儀なくされた方もいました。プロとしてやっていくために、自分に過剰な厳しさを科し、表舞台の華やかさとは裏腹に、自分を追い詰め続けた選手もいます。実力社会のプロの世界で一流と呼ばれ続けるためには、想像を絶する努力が必要なことを、昨日集まった方々は知っています。好きだったはずの野球がプロに入って好きではなくなってしまうという人もいました。怪我と戦い続けて心身共にボロボロになった人もいました。
たとえどんな現役時代だったとしても、昨日神宮球場に集まった元選手たちの顔には一様に笑顔があって、勝敗の関係ないゲームを心の底から楽しんでいるようでした。歳を取って、あるいは病に侵されて、もう走ることはおろか歩くことさえままならない選手もいましたが、その方たちも昨日の試合を、心の底から楽しんでいるように見えたのです。
我々ファンは、長い歴史を共に彼らと歩んできました。その歴史の集大成を見届けることができたことについては、簡単に言葉にすることができないほどの感動があります。私も昨日は終わってしまうのが悲しくて、ずっとこの場に居合わせたい、もっとたくさんのものを目撃したいと思ったものです。
ですが、その感覚とは別のものが湧いてくるのも、私は感じました。
在籍期間も、在籍年数も様々な元選手たち。華やかな現役時代を送った人も、思うように成績を残せなかった人もいて、その経歴は多岐にわたります。たとえ一時は野球が好きでなくなってしまった人であっても、ああやって笑顔で昔を懐かしみ、再会を喜び、再び神宮球場で野球ができることを喜んでいる姿を見ていたら、ああ、彼らの人生の青写真には、野球を通じて成長するということが計画されていたのだなぁと、そんな風にしみじみと感じたのです。
ある人は苦労しながらも大成する青写真を描いて、そこから学び成長することを選んで生まれてきました。そしてある人は怪我に悩み七転八倒しながらも、そのたびに起き上がり立ち上がり前に進むことで魂を成長させてきました。そしていずれもその成長の過程で得たものを、後進の指導という形で還元したり、昨日のような試合で生き様として私たちファンに示すという形の貢献をしてくれているのだと、そんな風に感じたのです。
プロ野球選手という仕事は、並大抵のことで務まるものではありません。何の保証もなく、浮き沈みの激しい世界です。でもだからこそ、そんな世界に身を置くことで学ぶことは多いのだと思います。我々ファンもそんな彼らの姿から、学び取ることがたくさんあるのです。彼らの姿を見、感じ、考えることは、彼らが野球選手として生きた証を我々の中に立てることではないかと、そんな風に思えます。
様々な貢献の形がある中で、生き様を晒すことで他者の糧となるということは、とても意味のある貢献ではないかと私は思います。
久しぶりにプレイして、子供のように笑い合う彼らの姿に、現役時代の姿を重ねながら、彼らの魂が野球選手になる計画を持って生まれてきてくれたことに強く強く感謝した、昨日はそんな、濃密な夜でした。
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