日々の仕事の中で、患者さんやスタッフとのやりとりを通して気持ちが乱れることってありますよね?
人間なので、それは仕方のないことです。
特に看護師の仕事は「感情労働」と呼ばれ、人の感情に介入し、自分の感情をフルに使ってするものですから、一般の事務職やほかの対人援助職よりも感情的に疲弊しやすいものです。
心の疲れは体の疲れにつながります。体の疲れは休息である程度軽減することができますが、心の疲れは蓄積していきます。切り替えがうまくできなかったり、真面目すぎていつも仕事のことを考えてしまうような性格の人にとっては、あっという間に心の疲れが溜まりに溜まってピークに達してしまいます。
新人さんに多いこれらの「心の疲れの蓄積」ですが、仕事や業務ペース、病棟の雰囲気などに慣れてくると、だんだんと肩の力が抜けて、息抜きやいい意味での手抜きができるようになってくるので、心の疲れもあまり溜まらなくなってきます。
新人さんでなくても患者さんとうまくいかなかったり、先輩から指導を受けたり、インシデントを経験したりすることで、心の疲れが溜まることがあります。同僚とご飯を食べに行って愚痴を言ったり、お酒を飲んで発散したりして切り替えができればいいのですが、ついくよくよ考えてしまうという方も少なくないのではないでしょうか。
人間には2種類いて、他人のことがあまり気にならないタイプと、気にしてしまうタイプがいます。誤解を恐れずに言い換えると、「鈍感な人」と「神経質な人」に分けられるということです。鈍感な人は自分をしっかり持っていて、誰に何を言われてもどんな態度を取られても、あまり気にせず自分のやり方を貫けるのですが、神経質な人は誰かが何かを言ったり、変わった態度を取るのを見て、相手の心中を察してしまいそれを気にしてしまうため、とても心が疲れてしまいます。
そう考えると、「鈍感な人」の方が有利に思えるかも知れませんが、そうでもありません。「鈍感な人」は心の疲れを感じにくく、マイペースで進むことができるので、心の疲れが溜まりにくいのは事実ですが、相手の言葉や態度でその人の内面を察することができる「神経質な人」は、逆に看護師として「武器」を持っているとも言えます。
患者さんやご家族、チームメイトの状況を敏感に察知して、先回りして対応したりさりげなく手を差し伸べてあげることができる繊細さを持っていると考えることができるからです。
そうは言っても、周囲の人々に毎日振り回されているように思えて嫌気がさしてしまっては元も子もありません。もし、自分が「神経質な人」に当てはまるとしたら、考え方を少し変えてみることをおすすめします。
人間の脳は、現実と想像の区別がつきません。現実に嫌なことがあったとしても、楽しいことを想像することで実際に楽しいことを経験するのと同じ反応が、脳に現れるのです。
過去にあった楽しいことや面白いことを思い出して、思い出し笑いをした経験はありませんか? まさにあれは、「今、楽しい」という風に脳が勘違いをしているからなのです。
心の疲れを顔に出し、イライラしながら仕事をしていると、脳がずっとイライラした状態のままとなってしまいます。そういう気分でいると自分自身が嫌になってしまうばかりか、周囲ににも嫌な空気を伝染させてしまうことになります。
楽しいことはたくさん伝染させた方がよいのですが、嫌なことはインフルエンザのウイルス同様、伝染させないようにしなければなりません(医療従事者ならなおのことですよね!)。
自分がイライラ、モヤモヤしていると感じた時、その原因を取り除くようにまずは努力してみましょう。誰かの言動が原因でそういう気分になったなら、その誰かに働きかけてみるのが一番手っ取り早い方法ですが、相手が先輩だったり医師だったり苦手な患者さんや家族だったりすると、なかなか難しい場合もありますし、自分のイライラやモヤモヤの原因がわからない場合もあります。
そんなときは、自分の脳を騙しましょう。
脳が「今、楽しい!」と勘違いするように導くのです。
やり方はカンタン。
休憩室やトイレなどの鏡の前で、ニッコリ笑うだけでいいのです。
できれば声に出して笑うのが一番効果的なのですが、職場でワハハと笑って誰かに見られたり聞かれたりしたら恥ずかしいので(笑)、表情を変えるだけでも十分効果的です。
口角をあげて目じりを下げて、自分の一番いい笑顔を作ってみましょう。笑顔を作ると、それだけでなんだか気持ちが和らいでくるのがわかります。
ウソだと思ったら、是非一度試してみてください。
イライラしたときだけでなく、悲しい気分の時や疲れて元気が出ないときなどにも活用できます。
笑顔を作るだけ、タダだし時間もかからないし、とっても効果的な方法だとは思いませんか?
是非一度、試してみてくださいね!
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