スピリチュアルなおはなし

この世に誰かが存在し始めた日

 誕生日が特に楽しいと思えなくなったのはいつ頃からだったでしょうか。

 子どもができて自分のことなど構っていられなくなった頃からかも知れません。

 仕事や生活が「こなすべきこと」になり、一日一日をやりすごすことだけに意識を向けるようになってからは、子どもの誕生日と祝うべき節目の行事のみを気にしているような状態でした。別に誕生日なんて1/365のただの一日だし、どうってことない普通の日だし、だから何?という感じなんですよね。

 ですが、かつてある人に言われた言葉を、私は折に触れて思い出すのです。まだ看護学生だった頃、実習先の病院に入院していた40代の患者さんが、その日私が誕生日だと知った時にかけてくれた言葉です。

「誕生日は、その人がこの世に存在し始めた日なんだから、いくつになってもめでたい日なんだよ。自分がおめでとうと言ってもらう日じゃなくて、生んでくれた親御さんにありがとうをいう日なんだよ」

 その患者さんはシングルマザーで、若くして脳梗塞となり、左半身麻痺でリハビリ中でした。当時中学生だった男の子の母親であり、現役の体育教師でもあった彼女が、完全に元に戻る可能性のない病気になり、大変な思いをしていた時です。なのに彼女はとても明るく、いつも私たちを元気づけてくれていました。本来なら、看護師(の卵でしたが)である私たちが彼女を元気づける役割を担うべきですが、彼女に私たち学生の方が励まされ、勇気をもらっていたような気がします。

 実習はとても大変なものなので、たいていは辛い思いをするものですが、その実習期間は彼女のおかげでとても楽しく、充実したものでした。私たちが実習に来ることを彼女も楽しみにしてくれていたようで、その後看護師になってからもしばらく彼女との関係が続いていたほど、縁のある方でした。

 もう30年以上前のことですが、あの時の彼女の言葉がいまでも誕生日ごとに思い出されます。歳をとるのが嫌だと思わないのも(老けるのはあまりありがたくないですが・笑)、きっと彼女があの時、私にとっての誕生日の意味付けを変えてくれたおかげだと思います。

 私をこの世に誕生させてくれた両親に、心からのありがとうを。

 私をここまで生かしてくれた宇宙に、心からのありがとうを。

 そして私を今まで支えてくれた人たちに、心からのありがとうを。

 こうして届けることができることを幸せに感じます。

 年々体力は落ちていくけど、やる気は全く落ちません!

 この人生は一度きり。魂が喜ぶことを追及して楽しみたいと思います^^

 

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