今年は私の好きな選手の引退報道が多く、そのすべてを朝刊が出るタイミングの朝5時のネットニュースで知ったので、一日の始まりを重い気分で迎えることになってしまっています。
今日もまた一人、いぶし銀の存在感を持つ選手の引退が発表されました。
彼は体が小さく、入団もドラフト6位という順位で、プロの選手として生き残るためには、最初から大きなハンデを背負っていました。
でも、とにかく野球がやりたいという思いから、四国の独立リーグなどでのプレーを経て、持ち前の明るさとキャラでプロ野球選手になるチャンスをものにして、チームの中で自分の居場所を確立し、12年間現役生活を続けてきた選手です。
才能に恵まれた選手が多いこの世界で、自分が飯を食っていけるのはどんな存在になることなんだろうと考えて、レギュラーを狙えないならニッチなポジションで生きていくと決め、代打・代走・守備固めと、いつでもどんな場面でも使ってもらえるだけのスキルを努力で身につけました。
中でも、バントの技術は素晴らしかった。
ここぞというところで代打で出てきて、しっかりファーストストライクでバントを決めるその技術力に、何度助けられたことか。
本来は内野手登録であるにもかかわらず、まさしくユーティリティプレイヤーとして、投手以外のすべてのポジションを守ることができるという逸材でもあります。
そんな彼のことを、うちの娘は小学校3年生の頃から熱心に応援していました。
いじられキャラで騒がしい彼をみていて、恐らくクラスに一人はいそうな男子のような身近な存在だと感じたのでしょう。たまにしか出場機会がなかったとしても、毎年新しくなるファンクラブのユニフォームには、必ず60番の背番号をつけたいとせがまれたものです。
そんな彼が、今季限りで現役を引退するとの報道が、今朝なされました。
私はどうやって娘にそれを伝えたらいいのか、考えあぐねています。
誰にでもいつかはそういう時が来るとはわかっていても、いざその時が来てみると、実感がわかず、どうしていいかわからなくなってしまうものです。
まだ夢の中の娘を見て、今まさに途方に暮れている状態です。
35歳という年齢は、過渡期にあたる年齢なのでしょう。体力が衰えてくる一方で、チームではベテランの域に入ることで、後輩からアドバイスを求められることも増えてくる頃です。
彼の技術力や試合に臨む姿勢などを球団に買われて、コーチとして残ることを打診された結果、引退を決意したのだろうと思います。
彼の人生の青写真には、大好きな野球に細く長く携わり続け、求められただけの働きを確実に、期待通りに行うことで、魂を成長させるということが描かれていたのだと思います。
少し前に退団が発表された大引選手のように、あくまでも現役にこだわり、他球団でプレーする道を模索することを選ぶ人は、選手として悔いが残らないようにやり切るということによって、魂を成長させる青写真を描いてきたのでしょう。
毎年、あと何年、あとどれくらいと、残る年を数えながら、その場でできる最高のパフォーマンスを発揮してきたであろう彼に対してかけるねぎらいの言葉は、現役最後だとかなんだとかいう湿っぽいものではないような気がします。
いじられキャラで、サヨナラヒットを打ってもチームメイトにスルーされた挙句、寄ってたかって叩かれたり蹴られたりして祝福されるような存在の彼に贈る言葉は―――。
フリーアルバイターちゃんみわ、コーチのバイト見つかってよかったね♪
また来年も、再来年も、その次も、ずっと毎年、戸田で会おうね!
これからも、彼の人生の青写真を、一緒に体験し続けます。
ちゃんみわ、楽しませてくれて、本当に本当にありがとう!
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