わたしのヒストリー

横浜市の病院に就職したころのこと —人生の棚おろし⑭—

 前回、「帰国して受けた逆カルチャーショック ―人生の棚おろし⒀」では、ヨーロッパと日本の文化や考え方の違いについて書きました。

 今回は、民間の病院に就職した頃のことを書いていきます。

 帰国後しばらくしてから、新規開業するクリニックに半年間非常勤で勤めたのち、金銭的な問題と臨床がやりたいとの思いから、横浜市にある病院に就職しました。

 そこは脳神経外科の病院で、ほかに整形外科と内科の患者さんを受け入れていました。配属されたのは63床という大きな病棟で、比較的手のかかる患者さんが多かったにもかかわらず、仕事はいつも定時で終わって5時に病棟を出て5時半には家に帰っていました。2年半ほど勤務していましたが、その間時間外勤務をしたのはたったの2~3回ではなかったかと記憶しています。当時は今のように書類仕事などのタスクが多くなかったこと、病棟クラークが2名配置されていて、看護師が看護以外のことに時間を取られずに済んでいたことがその理由ではなかったかと思います。

 ですが、私にとって民間病院で働くことは初めてだったため、戸惑うことも多々ありました。卒後すぐ就職した病院は県立だったため、ヒトもモノもたっぷりでしたから、当然あるべきと思っていたものがなかったり、やるべきと思っていたことがされていなかったりといったことに対する衝撃の連続だったのを覚えています。
 中途採用だったので、それほどしっかりしたオリエンテーションが望めないのは、今となっては仕方がないことだと考えることができますが、当時は放置されているような気がして困惑していましたね。そんなこんなで人にも場所にもなかなか慣れることができずにいましたが、2カ月も経った頃にはすべてのスタッフと夜勤を一通り組み終わったこともあり、徐々に慣れて楽しく感じられるようになっていきました。

 20代後半の頃でしたので、仕事は仕事で一生懸命こなす一方で、同僚や友人たちと遊んだり、車を買ってドライブしたりと、とても満喫したのを覚えています。インターネットの走りの頃でもあり、テレホーダイに入って23時以降に友人たちとチャットするのが楽しくて仕方がなかったですね。

 今思えば、一番恵まれた環境にいたのがこの頃だったのかも知れません。仕事にも住環境にも満足していましたし、港北ニュータウンや横浜にラクにアクセスできることはとても魅力でした。住んでいたところはあざみ野という駅まで徒歩3分くらいととても近かったこともあって、何でも揃っていて快適だったのを覚えています。

 ですが、私はその病院を、2年半で退職してしまいます。結婚が決まり、埼玉に引っ越すことになったというのがその理由です。

 思い返して考えてみた時に、いい環境だったと思えたとしても、その時その場で感じている違和感などは、生の感覚です。私の人生は思い返すと、そういった「これじゃない」感のようなものが、常につきまとっていたような気がします。仕事が楽しく、状況に満足することはあっても、その状態が長く続くことがないのです。

 この感覚については、最近その正体がやっとわかったので、またの機会に書くことにして、今回はこれで終わりにしたいと思います。

 次回、「看護師として飛躍したころのこと —人生の棚おろし⒁-」では、埼玉への引っ越しをきっかけに経験したことについて書いています。

 今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました(^_^)

 

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