スピリチュアルなおはなし

私が「遺言だと思って聴いてください」と言う時

 遺言という言葉の響きは、あまり居心地のいいものではありません。

 耳にした時、一瞬身が縮むというか、ドキッとするというか、一種独特な、不穏な空気が流れます。目を背けたいような気がするのに、向き合わざるを得ない、そんな力が、この「遺言」という言葉にはあるような気がします。

 最近は「終活」という言葉をよく耳にするようになり、リビング・ウィルという言葉が遺言に取って代わるようになりましたが、それは「遺言」という言葉の印象が強すぎて敬遠される傾向にあるため、向き合いやすい英語を使うようになったのではないかと考えられます。日本人は特に死後のことについて話すのは「縁起が悪い」と敬遠しがちですから、終活の考え方を広めるために、リビング・ウィルという言葉はちょうど良かったのかも知れません。

 私は看護師として仕事をしてきた中で、研修を企画したり講師をしたりする機会がとても多くありました。どんな対象者に、どんな内容の研修を実施したら効果的かを考え、どんなふうにスライドを作り、どうやってワークを行いフィードバックしたら印象に残るかなど、細かいところまで考え計算して、研修を組み立てていたものです。

 伝えたいことはたくさんあって、どうしたら正しく相手に伝わるのかを考えるのですが、コミュニケーションはどちらかというと受け手側に問題が生じることが多いもので、伝えたいことをそのまま相手が受け取ってくれるとは限らないため、そこはとても苦労しました。伝えたいことの半分でも伝わればいいものだと割り切って講義していたこともあります。

 ですが時々、どうしても伝えたいことというのが出てきます。
 重要なポイントや、注目して欲しいこと、しっかり聴いて、自分の中で咀嚼して、消化して欲しいと思うことがあります。そんな時、受講生たちの意識をこちらに向けさせるために使ういくつかのキラーワードがあって、それらをうまく組み合わせ、間を取りながら使います。すると思った通りに、見事に受講生たちの視線が集まるということを、何度も経験してきました。

 そんなキラーワードの中で、私がこれまでにたった一度しか使ったことのないものがあります。
 それが、「これは私の遺言だと思って聴いてください」というフレーズです。

 以前教育師長として勤務していた病院から、別の法人に異動になる直前、教育師長としての最後の講義の時に、このフレーズは自然と私の口から出てきました。

 意図したわけではなく、本当にごく自然に、するりと発せられた言葉でした。それまでもしっかりと話を聞いてくれていた受講生たちでしたが、遺言という言葉を耳にした瞬間、その場の空気、つまり波動が変わったのがわかりました。

 この組織に対する自分の思いや、明日の組織を背負って立つことになるスタッフたちへの思いを伝えたくて、思わず出てきた言葉でした。ですが、その気持ちは本心からのものだったので、遺言という響きに全く違和感を感じませんでしたし、聴き手にも十分に伝わったという手ごたえがあったのです。

 冒頭でも触れたように、とても強くて非日常感満載な「遺言」という言葉は、できれば遠ざけて語らずに済ませたい種類のものです。ですが、人は必ず死ぬものであることも事実。ずっと目を背け続けることはできません。

 何事にも終わりがあり、終わらせるということは時に勇気がいるものであるということを、死=終わりをイメージさせる「遺言」という言葉を使うことで、上手く伝えられたのではないかと、今では思います。

 もしも私が次にこのキラーフレーズを使う時が来るとしたら、それはきっと、組織で働く看護師としての自分が死ぬときではないかと感じています。

 「永遠に生きるかのように学べ。明日死ぬかのように生きろ。」
Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.

マハトマ・ガンジー

 

 毎日を精一杯、無駄のないように生き、いくつになっても学び成長する意欲を失わない。

 一つのことを終わらせれば、必ず次の何かが待っている。

 その準備ができた時、次を任せる誰かに向けて、この言葉を使おうと思っています。

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