わたしのヒストリー

急性期病棟から看護部への異動 -人生の棚おろし⑰-

 前回、「妊娠初期のころ -人生の棚おろし⒃-」では、つわりや切迫流産で大変だった頃のことについて書きました。

 今回は、病欠明けで職場に復帰した時のことを書いていきます。

 安定期に入っていたとはいえ、夜勤や体力を使う仕事などに不安があったので、日勤のみのほぼリーダー業務という位置づけで勤務を再開しました。

 リーダー業務というのは、医師からの指示受けや業務の割り振り・調整、情報の集約などを行う看護師の業務のことです。

 患者を受け持たずナースステーションにいることが多いので、体を使わない頭脳労働を担当します。

 自分ができることを探しながら、全体の業務が上手く回るように考えて指示を出す仕事は嫌いではなかったので、復帰できたこともあって、毎日楽しく過ごしていたことを覚えています。

 一方で、休んでいる間に何かしら職場の雰囲気が変化していることにも気づいていました。

 そのころの私は主任という役職を拝命していて、部署内の教育にも力を入れていましたので、メンバーにとってはある程度怖い存在だったようです。その怖い先輩がいなかった2か月間というのは、一部のスタッフにとっては羽根を伸ばせるいい機会だったのでしょう。

 表面上はにこやかに接していますが、復帰したことを喜んでいないスタッフがいることを感じていました。

 私自身、すでに以前と同じようにガリガリ仕事をするスタンスから少しですが離れていたということもあり、そういったスタッフに何か苦言を言うことはなかったのですが、それでも疎ましい存在であることに変わりはなかったようです。

 120床程度の小さい病院で、働くスタッフのことを皆がよく知っていることも、良し悪しでした。

 やがて私が病棟から、看護部に異動するといううわさ話を耳にすることとなります。

 何が直接の原因だったかはわかりません。看護部に事務の仕事をするスタッフがいなかったことも一つあると思います。私は当時の看護部長から院内報やマニュアル作成などの仕事を任せてもらっていた経緯もあり、妊娠中で夜勤もできずあまり動けないのであれば、看護部で書類作成などの仕事をやって欲しいというのが私に伝えられた理由でしたが、私は最初、腑に落ちませんでした。

 異動が事実であり、その理由がどうであれ、私の耳に噂話として入ってくるというのはどういうことだろうと思ったのです。私より先に異動の情報を知っているスタッフがいて、そこからまわりまわって私に伝わったわけですから、当時の看護部長と副看護部長のどちらかがリークしたことは確かだと考えました。

 そして私の中で、その二人に対する不信感が少しずつ大きくなっていきます。

 結局、本人は否定しましたが、当時の副看護部長が私の所属していた病棟のスタッフに茶飲み話として漏らしたものが、そのスタッフから職員に伝わったのだとうことが後日わかったのです。これは非常に不愉快な経験として、いまだに私の中に残っています。

 人事というのは非常にデリケートな問題であるはず。しかも主任という役職の者を看護部の事務作業をするための要因として異動させるということであれば、なおのこと慎重にことを運ぶ必要があるわけです。

 この経験がもとで、私は看護部長になってからも、ことのほか人事情報のコントロールには気を遣うようになりました。逆にこのことがなかったら、自分以外の人が先に自分の処遇を知っているという居心地の悪い感覚を直接味わう機会を失い、配慮のかけたトップマネジメントになっていたかも知れないと思うと、これは必要な経験であったということができると思います。

 結果的に私は看護部に異動することとなりましたが、そこから出産までの間に、立て続けに副看護部長の退職と看護部長の退職を目撃し、ともに働くこととなった新しい看護部長を迎えるという怒涛の変化を経験することなります。

 この新しい看護部長との出会いは、今の私を形作る上で重要な経験となりました。

 次回、「ある大先輩との出会い -人生の棚おろし⒅-では、そのことについて書いています。

 今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました(^^)

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